1999年、瀬口力代表取締役社長が就任直後に着手したことは、ITを駆使した新しいビジネスモデルの構築だった。
瀬口社長：「ビジネスモデルのイメージは、ネットに広く『専門店』をつくること。家を建てる方は、土地を探したり施工事例を調べたりするなど幅広い切り口で情報を探しますよね。その過程で自社ホームページが閲覧されても、知りたい情報がないと離脱してしまうケースが多くあります。そこで、会員登録をすると不動産会社から収集した売地情報を探せる土地購入応援サイトや、理想の建築士と出会えるサイトなど複数のカテゴリサイトを開設。各サイトに集客する仕組みをつくり、不動産会社などの情報提供者と閲覧者の双方に喜んでいただきました。今では全国の方々から、サイトを通じて多くの問い合わせを頂くようになりました」
同社では、前述したカテゴリサイトを活用するデジタルマーケティングや、完成した住宅を見学会場として一定期間借りあげる住宅モニター制度を構築することで集客コストを10分の1に抑えることに成功。また自社設計・建材の一括購入を通してコストを削減した分、デザイン性や性能の高い住宅の提供を実現している。
IT、AI、VRを駆使した集客に注力。独自のシステム
を構築し、コスト削減と高品質な住宅提供を実現
株式会社 Lib Work
代表取締役社長
瀬口 力
社員一人ひとりが働きがいを感じられる職場環境を整備
同社は女性社員が約半数を占める。性別を問わず、働きやすい職場環境づくりに専心し、社員の事情に合わせて規定を見直した。
瀬口社長：「個人の能力を最大限発揮でき、働きがいを感じられる職場環境を整えてきたことが成長の大きな原動力になりました。また、自社株を社員に付与する制度を導入し、社員の帰属意識を高めました」
こうした取り組みが功を奏し、2014年には経産省のダイバーシティ経営企業100選に選出される。19年には東京証券取引所マザーズへの上場も果たした。
20年からは自社ユーチューブチャンネルを開設し、顧客の住宅と実際の暮らしを動画で紹介。現在、チャンネル登録者数は4万7千人を超え、競争優位を保つ要因になっている。同社の売上高は前期の137億円から、今期は165億円と躍進が続く。
同社は「住宅×テック」、「住宅×アライアンス」、「住宅×サステナブル」という3つの経営方針を持つ。
瀬口社長：「『テック』はITテクノロジーを活用すること。 VRによる完成前の住宅内覧やAIを用いた住宅提案など、これまで以上に顧客満足度を高めます。『アライアンス』では異業種とのコラボで住宅に新たな付加価値を創造。『サステナブル』では太陽光パネルを無料で全棟設置するほか、提供する住宅の資材調達から解体に至るまでに排出される二酸化炭素量を把握できる『カーボンフットプリント』の全棟明示にも真摯に取り組んでいます」
「イノベーションなくして業界の発展はない」ことを信念にした同社。柔軟な発想で常に新たな業態を創造し、住宅市場の活性化に寄与していく。
