事業用不動産賃貸を主業とする永田不動産は、1968年の創業以来、埼玉県深谷市を中心に現在、貸倉庫や工場などの入居率の高い賃貸物件を250棟所有し、地域とともに発展を続けている。
代表取締役社長の永田勝彦氏は、大手証券会社での勤務を経て、家業の酒屋を継いだ。仕事柄、地元の人たちとも顔なじみになるうちに生来のフットワークの軽さもあって、地域の催し物や行事などの手伝いの声がかかるようになる。
「この頃の経験が原点」と話す永田社長は、地元の年配衆にも引き立てられ、やがて不動産の世界へ。当初は不動産の売買を主業としていたが、地元企業や事業者からの要望もあり、店舗や倉庫、工場などの事業用不動産賃貸に事業形態を転換した。
永田社長:「始まりは1棟の倉庫でした。知人の紹介で高さ10mの新築倉庫を作ってお貸したところ、立地の良さや価格の安さ、堅牢さなどが評価され、人づてに仕事が広がり取り扱う物件が増えていきました」
深谷市から託されたプレミアム・アウトレットの用地取得にも貢献するなど地域の活況を支え続けるのは「忠恕の心」と「三方良し」の精神
永田不動産株式会社
代表取締役社長
永田勝彦
地域への貢献も、商売同様 思いやりの心を信条に
プレミアムアウトレット周辺には永田不動産が所有する新しい賃貸倉庫や店舗が点在する。
現在、年間売上約16億円強、深谷市内でもトップクラスの収益を誇る。そして、今でも土地・建物の購入の打診は引きも切らない。
永田社長:「条件のいい話もありますが、これ以上の業務拡大は現状の借主様への目配りが難しくなる可能性があります。私たちの事業規模は今ぐらいがちょうどいい。『足るを知る』ことが大事ですから」
2023年にオープンした国内10カ所目の「ふかや花園プレミアム・アウトレット」。
三菱地所がこの一帯の用地取得にあたって、農家から土地を借り受ける際、深谷市市長の相談を受けて、実現に向け尽力したのが永田社長だ。
永田社長:「条件のいい話もありますが、これ以上の業務拡大は現状の借主様への目配りが難しくなる可能性があります。私たちの事業規模は今ぐらいがちょうどいい。『足るを知る』ことが大事ですから」
2023年にオープンした国内10カ所目の「ふかや花園プレミアム・アウトレット」。
三菱地所がこの一帯の用地取得にあたって、農家から土地を借り受ける際、深谷市市長の相談を受けて、実現に向け尽力したのが永田社長だ。
店舗面積だけで約2万7500㎡という広大な用地を扱うだけに、地元の信用がなければ成り立たない案件だが、これまで積み上げてきた人脈や信頼がある永田社長だからこそ成立したと言えるだろう。
永田社長が大事にしているのは、自分の良心に忠実で、他人に対しても深く思いやりを持つという「忠恕の精神」。同じく深谷市生まれの渋沢栄一が大事にしていたことでも知られる。倉庫も店舗も使う人のことを考えてきれいに、使いやすい状態で借主に渡すなど、入居者に対する心配りを大切にする。売り手と買い手だけでなく世間良しの「三方良し」の精神に基づき、地域への貢献も同じと考える。永田社長は、埼玉県宅地建物取引業協会支部の相談役や川本町議会議長のほかにも、5期目となった深谷市議として市民の困りごとを解決に導き、深谷花火大会の実行委員会最高顧問として4年ぶりの花火大会を実現させるなど、地元を活気づけるための活動を続けている。