ローランド ディー.ジー.株式会社 ローランド ディー.ジー.株式会社

トップインタビューの内容は「週刊新潮」2023年4月27日発刊GW特大号に掲載されたもので、情報はその時点のものです。

業務用インクジェットプリンターでトップシェアを誇る
チャレンジ精神で新規事業の開拓にも積極的


コロナ禍に企業の体質改善を図りV字回復へ
自由な発想を生む社内環境を整え業績を伸ばす

ローランド ディー.ジー.株式会社 代表取締役 社長執行役員 田部耕平
ローランド ディー.ジー.株式会社
代表取締役 社長執行役員
田部耕平

 電子楽器メーカーとして知られるローランド。1981年にデジタル化の可能性に着目し、電子楽器の開発・製造で培った技術を他分野に広げるため子会社として設立されたのがローランド ディー.ジー.株式会社だ(※現在は親子関係は解消)。同社の売上げ配分は国内が1割で海外が9割と海外で高い評価を得て市場を開拓してきた。
 田部耕平氏が代表取締役社長に就任したのはコロナ禍中の2020年3月のこと。
田部社長:「コロナ禍は会社の体質改善のチャンスでした。固定費の引き下げや新製品投入、また先々代社長の口癖、『やったらええやん』を社員に浸透させ、チャレンジ精神の醸成や自主性の促進を図る一方で、働き方の多様化などを試みました。また収益を伸ばすために新しい“ビジネスの山”をつくることに注力しています」
 こうした取り組みで売上げはV字回復を遂げ、2022年度は売上げ500億円の大台を突破した。
 現在は業務用インクジェットプリンターやカッティングマシンを活用してオンデマンドプリンティングを提供するデジタルプリンティング事業と、歯の詰め物や被せ物などを加工するデンタル加工機や3次元切削加工機を提供するDGSHAPE事業の二つが柱。特にデンタル加工機の国内、欧米におけるシェアはトップを維持している。
 同社は、さらなる発展と安定のために、事業領域の転換にも着手し新市場の開拓を進めている。例えば主流であった低溶剤系インクやUVインクだけでなく、環境に優しいレジン(樹脂)系インクのニーズに応える体制を整えたり、印刷技術の進展に伴い、さまざまな分野に狙いを定めた取り組みを始めている。


各種の制度整備や取り組みで「選ばれる会社」に

2023年7月、都田事業所敷地内に新棟が竣工予定。2023年7月、都田事業所敷地内に新棟が竣工予定。

昨年の新入社員や若手社員が地元企業向けにDX推進セミナーを実施。昨年の新入社員や若手社員が地元企業向けにDX推進セミナーを実施。

 同社は新卒大学生/大学院生の採用に加えて地元高校生の積極的な採用も続けており、外国人の登用も含めて多様性を意識した人事戦略を展開している。
 向上心に溢れる社員はオンライン学習サービスを活用し、仕事で求められる知識やスキルを継続的に学ぶことができ、様々な認定資格を取得できる環境を整備。興味深いのは若手社員の資格取得率が圧倒的に多く、他の社員の刺激になっていることだ。
田部社長:「そのほかにも男性社員の育児休暇取得も一般化させるなど、さまざまな制度の導入で社内を活性化し、社員のライフステージが変化しても、快適に働ける環境を整備しています」
 こうした取り組みにより、多くの方に「選ばれる会社」になることでさらに働きやすい環境が成果へと繋がり、躍動する同社。
 DXを推進する取り組みも評価され、講演依頼や現場見学などの要望にも応えている。

Profile Data

ローランド ディー.ジー.株式会社

本社:静岡県浜松市北区新都田1-6-4
電話:053-484-1200
設立:1981年(昭和56年)
資本金:3,668,70万円
事業内容:コンピュータ周辺機器の製造および販売
https://www.rolanddg.com/